2013年7月20日土曜日

『草原』25-06(通巻126)号より

春の陽残る靴をはく  錆助
 暖かさがこちらまで伝わってくる句です。冬の陽では、なかなかこうはいかないように思います。

赤い躑躅散って月光  錆助
 色合い的にどぎついかと思いきや、夜の闇にはちょうどよい感じがします。

レンゲ畑の夕暮れぽつんとお地蔵様  啓司
 普段街中にいて、パソコンと向かい合ってばかりいると、こういう景とは出会えません。どうかすると、もはやこのような牧歌的な風景は過去のものとなってしまった錯覚すら覚えます。しかし、同時間のどこかでは、未だ存在している。SFチックな景にすら思えてきます。

更地になってケシの花満開  福露
 更地となる前には、いったい何が建っていたのでしょう。そしてそこの住民はどこへ行ってしまったのでしょう。疑問はいろいろと生じますが、ケシの花には、そんなこと関係ないようです。

いいなぁの口に花びら  ゆ
 なにが「いいなぁ」だったのか気になりますが、春らしい、楽しくなる景です。この口の持ち主は、子どもではなく女だったのではないかと思います。誤って飲み込まないといいのですが。

夢がくたびれた布団のつめたさ  寝覚

そねだゆ氏による鑑賞記事「野の若句作を味わう」より。共感できる句でした。老い先短かろうが夢がくたびれない人がいる一方で、老い先長かろうが夢がくたびれてしまう人もいる。不思議なものです。