2013年5月29日水曜日

『草原』25-04(通巻124)号より


店のスタッフに抱かれている孫を発見  福露
 一緒にお店へ来たはずの孫が、気がついたら見当たりません。アナウンスがあったのかどうかわかりませんが、ようやく見つけた孫は店のスタッフに抱かれていました。なにはともあれめでたしめでたし。

白菜鍋つつく背中の丸い  錆助
 類句がありそうですが、冬の食卓の温かい雰囲気がよく出ていると思います。お腹が空いてきました。

豊満な乳へ媚びる  賢太郎
 どのような状況下で、どのように媚びたのかわかりませんが、男らしいストレートな句だと思いました。

夢の女の舌触り  ゆ
 色気のある句です。風狂子(錆助)氏に「舌絡み合って熱帯夜」の句がありますが、現実にしても夢の中の話にしても、舌が醸し出す魅力は変わらないようです。

劫火のかがやきの海へ先あらそうて跳ぶ  句塔
「甲板すでに紅蓮の炎の、救命具の紐結びなおす間」や「海へ跳ぼうとして見た甲板の死体いくつか」の句が直前にあるので、乗船していた船にて火災が起こった際に詠んだ句とみました。敵襲によるものかそれとも事故によるものか不明ですが、「劫火のかがやき」が映る暗い海に、なんともえない恐怖を覚えました。

あるけてあやういあんよ  広隆
 佐瀬広隆氏の句集『海鳴り』より。景が一瞬で広がる、佳句だと思います。音の明るさもあって、つい何度か声にだしてしまいました。今後は、こんな「あんよ」をみるたびに、この句が脳裏をよぎりそうです。