2013年4月27日土曜日

『草原』25-03(通巻123)号より


陽射しに春が混じっている  福露
 相も変わらず冬の日々が続きますが、詠み手の心が今日は特に跳ねていたのでしょう。だからつい、陽射しにも春が混じってきたのです。

川波いちづに小舟を打っている  滋人
 いちづは一途のことでしょう。一読して景が浮かび上がりました。川波は半永久的に小舟を打ち続けるのでしょうか。

泣き顔へ雪の一片  錆助
 気に食わないことがあったのか、あるいは怒られたのだろうか、この子はずっと泣きつづけています。そんな子にも雪が一片降ってきました。笑顔になるのももうすぐです。

母がいないバリアフリーに浸かる  ゆ
 自宅のお風呂を母親のためにバリアフリーに改築していたのでしょう。しかし肝心の母親は、どこか余所に暮らすこととなってしまいました。詠み手が浸かってやるほかありません。

頭上を敵機君も地に伏しているひととき  句塔
 敵機とひとときの、語感のギャップがおもしろいです。同じ部隊の君とともに、頭上の敵機をやり過ごしているところでしょう。確かにそれは「ひととき」なのでしょうが、どうにも休まらないひとときです。

月が雲を出て雲に入り朝遭うた君はいない(H伍長戦死) 句塔
 この冗長さが、この句の場合はいいと思いました。戦地の現実を突き付けられます。詠み手の目には、月はどのように映っていたのでしょうか。

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