2012年9月2日日曜日

『草原』24-06(通巻114)号より



爪切って小さな爪や大きな爪  啓司
 小指の爪から親指の爪まで、いろいろな爪があるはずですが、なかなか意識してみませんね。あるいは、子供の爪と大人の爪が混ざっている有様でしょうか。

小さな女丸ごと抱く  ゆ
 小柄な女性とのひとときのようです。丸ごとというところに、男らしさを感じます。

抱いて抱かれて夢であったか  かいじ
 この句には、一種の桃源郷を見ました。あまりに愛しい夢でした。

雨のさくらの妻の墓にきた   句塔
 春雨の中、妻の墓参りにきたようです。美しいひとこまです。なお、この句は、句塔の句集『父子』に掲載されています。この句を目にするまで、句集の名前まで意識しておりませんでした。

子が春へ花のたねまく  句塔
 幼子でしょうか、春を共にすごしている様子ですね。この種が、日本の高度経済成長となっていったのでしょう。

つはものゝ命に代れ芋の蔓  北村旅団長
 以下二句、『メレヨン自活句集』に掲載されている句とのこと。戦時中、メレヨンに駐屯した部隊内で句会が開かれており、その成果をまとめたもののようです。芋を植えて自活していたようですが、さすがは旅団長、部下のことを案じていたようです。強さを感じる句 です。

この芋は一キロありと奪ひ合い  岩尾少佐
 芋を植えて後、収穫しているさいのひとこまです。ほほえましくもみえますが、食糧難にあったようですから、案外血みどろの争いとなっていたのかもしれません。これら二句以外にも、いい句が多く、『メレヨン自活句集』を読んでみたくなります。

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