2012年5月19日土曜日

『草原』24-04(通巻112)号より


父を罵るお人もあって  瞭
 いろいろな人がいる世の中です。「お人」と「あって」に、作者の心情が込められています。

座った席に後悔している  明人
 いったいどのような席に座ってしまったのでしょう。周囲がやかましい席だったのか、ガムがくっついている席だったのか。とにもかくにも、降りるまでは我慢です。
 
月とわたしと青い  馬堤曲
 月夜に歩いている様を想像しました。青白い月の光が美しい夜、月とふたりの逢瀬だったのです。

女一人の足音に鳥の羽ばたく  渓子
 ヒールの高いくつをはいていたのでしょうか。「女一人」に何が込められているのか、意味深です。
  
暦めくり春を待つ  風狂子
 ユーミンの「春よ来い」が流れてくる句です。日本人は、あるいは人は、どうして春を待つのでしょう。単に気候的に快適だからではない気がするのです。なおこの文章を書いている現在、ユーチューブで「春よ来い」を流しております。

雪に遭ったと言う女を抱く  ゆ
 生を詠った美しい句です。冷えた女を温めるのに、他に手立てはないでしょう。先にも書きました「春よ来い」がまだ流れています。かの歌は、この句にもよくあいます。

眠って醒めて春はすぐそこ  かいじ
 くどいようですが、「春よ来い」を聞きながら書いております。こちらは積極的に春を待っているというよりも、時の流れに身を任せている感じがします。季節に寄り添って、ゆっくりと生きていくのです。

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