2012年5月19日土曜日

『草原』23-01(通巻97)号より


  パン焼く匂いを歩く  福露
  パン屋さんのそばでしょうか、それとも住宅街の中でしょうか。暖かくておいしい匂いの中を歩くと、お腹がなってしまいそうですね。

  風邪ひいて寝て聴く雨音  啓司
  寝床では、いろいろな音がいつも以上に聞こえてきます。特に病床にあると、触覚も敏感になる気がします。

  皆の後ろから社を覗く  渓子
  出遅れてしまうと、こういうことがままあります。いざじっくり見ようとする頃には、皆帰り支度をしているのです。場景がありありと浮かびました。

  葬式から帰った体で女を抱く  ゆ
  一見奇異にうつるかもわかりませんが、死を見た後だからこそ、生が恋しくなるのかもしれません。

  ゆずられた席のぬくもり  権三郎
  心も体も暖かくなる席に座ることができてよかったですね。冬場ですと特に、ありがたいものです。

  振りかえらないあなたを見送っている  慶
  類句がありそうですが、素直に心に入ってくる句で好きです。これはいったい一時の別れだったのでしょうか、それとも永久の別れだったのでしょうか。

  夜のひとりのビールが冷える  かいじ
  お昼のうちに冷蔵庫に入れていたビールですね。そういえば私は、冬場は冷蔵庫の電源を切っておりました。ビールは陽があたらないベランダに置いておき、帰宅後ベランダからとりだして飲んでいたものです。

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