2012年5月19日土曜日

『草原』22-11(通巻95)号より


  帰りも山羊と見合う   
  これもひとつの一期一会でしょう。山羊はどこにでも登るものですが、日本にいる山羊も車の上に乗っていたりするのでしょうか。

  坂を下りゆく葬列  瞭
  静かな句となりました。一人の生が終わり、送られていく様がきれいに描かれていると思います。田舎の光景かと思いますが、いかがでしょう。

  一面の稲の波くる  敬雄
  気持ちのいい秋風が吹いているのですね。美しい水田は、東アジアならではの風景ではないかと思うのです。今、一番見たい風景です。

  土産あふれるほどの旅の女  滋人
  たまにお土産を大量に買い込む人を見ますが、気のせいでしょうか、女性に多い気がします。このまえサナアでたまたま出会った日本人女性の方も、これでもかというほど購入しておりまして、驚いてしまいました。

  間違い電話も一人居の事件  ゆ
  一人暮らしですと、何気ないことでも印象に残ってしまいます。ただ間違い電話があっただけのことなのに、いろいろな人にそのことを伝え回ってしまうのです。
  
  助けた落ちぜみからおしっこ  慶 
  彼の生はいまにも終わろうとしているのに、排泄器官はなお彼を生かそうとしているのですね。我々よりもはるかに速く老いていく蝉は、いったいどのように世界を見ているのでしょうか。

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