2012年5月19日土曜日

『草原』22-10(通巻94)号より


友の寝息に本を広げる  芳江
誰かの寝息が聞こえる部屋というのは、読書に最適のように思います。理由はよくわかりませんが、落ち着いて本の世界に入っていけるのです。昔、高校生だった頃、テレビの音や家族の話声が聞こえる居間で勉強をしていたことを思い出しました。

空き缶拾えばウヂャウヂャと蟻  風狂子
日本の夏が恋しくなっているようで、今回の風狂子さんの夏を読んだもろもろの句は、とても印象深かったです。その中でもこの句は特に、私を懐かしい気分に浸らせてくれました。子供の頃、よく見た、よくやった情景でした。

雨のなか雨合羽のなかにいる  啓司
大雨に降られている状況を想像いたしました。大雨と合羽によって、二重に世界から遮断されているようで、おもしろいです。

炎天に赤子抱いている  福露
夏の暑い日に、お孫さんと一緒にいられたのですね。今年の日本は酷暑だったとききますので、へたをすれば、人間同士でくっついている方が涼しかったのかもしれませんね。

うなじに重い蝉しぐれ  瞭
蝉しぐれの中を、少しうつむき加減で歩いている状況ではないかと想像いたしました。首のところに、のっそりと蝉の声が乗っかっている様が目に浮かびます。

もりもり盛り上がる泡に口が尖がる  ゆ
一瞬、雲へ歩むのだろうかと思いましたが、ちがいました。これは夏のビールですね。おいしそうです。個人的には、枝豆や唐揚があると、もう何も言うことはありません。

0 件のコメント:

コメントを投稿