2012年5月19日土曜日

『草原』22-08(通巻92)号より



思い出を折りたたみ古手紙  芳江
ついついその内容や送り主のことを想像してしまいます。きっといつまでも、机の中に大事に保管されているのでしょうね。「折りたたみ」と「古手紙」の韻も好きです。

夜明けの空に生まれたてのさえずり  敬雄
つばめでしょうか、新しい生命のさえずりで目覚められたということでしょう。なかなか遭遇することのできない機会ですね。

雨のぬれた足音で配達していく  啓司
配達をする自分自身の足音なのか、それとも自身は室内にいて、配達人の雨音をきいているのか。しかしどちらにしても、ぐちょぐちょになった道を配達に走るというのは、大変です。

父の日の焼鳥がチンと鳴る  白兎
せっかくの父の日ですが、家には誰もおらず、できあいの焼鳥をチンして、ひとりで一杯やろうとしているところを想像しました。

覚めればやっぱり白い壁  昭代
入院中のひとこまですね。無事に快癒されたのでしょうか。病院の白い壁は確かにきれいで安心させてくれるのですが、時に吸い込まれそうな、あるいは閉じ込められて二度とは外へ出られなさそうな、そんな恐怖を覚えることもあります。

散歩の月を背にドアを閉める  まゆみ
玄関のドアをあけると、月明かりが室内に入っていき、自分の影が廊下にのびている様が浮かびました。月明かりの下での散歩は、気持ちがいいものですね。

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