2012年5月19日土曜日

『草原』22-07(通巻91)号より


鴉の目当ての枇杷が色づく  白兎
 鴉にしてみればご馳走にありつけ、枇杷にしてみれば種を運んでもらえる、双方ともに待望の頃となりました。鴉から枇杷を守りたい人間だけが、そわそわしている気がします。

初蝉の海岸の松原に鳴く  啓司
 以前に暮らしていた福岡にも松原の海岸がありまして、夏などはそこを通って浜辺に出ていたものです。日本では蝉の季節となったのですね。こちらにはどうやら蝉はいません。

風に逆らえば雨粒の顔に痛い  啓司
 風雨の中を、風に向かって歩いているところですね。傘ももはや意味をなさない状況かもしれません。

今日も居ったな守宮  風狂子
 顔なじみの守宮ができたのですね。明日もおるとよかですね。

白い足のミニスカート降りてゆく  明人
バスでしょうか列車でしょうか、とにもかくにも夏らしい光景です。男らしい句だと思いました。

 マンションの鯉のぼりを見下ろす  ゆ
 鯉のぼりは見上げるものとばかり思っておりましたが、確かにマンションの上階からは、階下のベランダの鯉のぼりを見下ろすことができます。気が付きませんでした。

崖の下まで青物を作り百姓はさびしく  武二
厳しい環境下で、畑をひとり耕している百姓の様を描いた句ですね。作者に詠まれたこの瞬間、百姓は何を考えていたのでしょうか。

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