2012年4月30日月曜日

『草原』21-12(通巻84)号より



  片肘ついてリンゴをむく  昭代
長雨が続くなか、室内で暇をもてあましている様と思いました。暇つぶしもかねて、おやつ代わりにリンゴを食べようと思い立ちましたが、外の天気のこともあって、どこか物憂げな雰囲気を醸し出しています。

  駅弁開いて老夫婦向かい合う  敬雄
老夫婦の小旅行といったところでしょうか。一息ついて、楽しみにしていた駅弁をひらいているのですね。車窓には、田園や山の風景が流れています。これまでも、これからも、こうした穏やかな時間を過ごされていかれることでしょう。

  跳ねる光は大粒の雨  福露
深夜の高速道路を車で走っている際にできた句だと想像しました。大雨の中、車のライトで輝いた水玉が、自身の車にぶちあたってきているのです。綺麗な半面、運転に支障がでそうで、少し怖い光の粒となりました。

  振り返れば振り返る女  ゆ
このときの別れは、はたして一時的なものだったのでしょうか。お互いに、話し足りないことがまだあったようです。

  へなへな転任させられてゆく夏草  吾亦紅
上に従うほかない転任だったのでしょうか。力強く夏草が茂っているというのに、ご自身の体にはもはや精力が残っていなかったようです。

  飛ぶのをやめたバッタの眇目  権三郎
戦いか何かで片目をなくしてしまったのでしょうか。しかしここで飛ぶのをやめたのは、休憩のためだけであって、生をあきらめたわけではないと思いたいです。

0 件のコメント:

コメントを投稿